2009年11月5日、バンコクに赴任しました。2011年9月1日、東京に戻りました。2013年10月1日、福岡に移住しました。
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こちらこちらの続き。
軽くおさらいしておきましょう。
同じカメラでほぼ同時に撮影された大浦バンドのバージョン違いの写真が見つかった。撮影年代は明治26年~31年の間。1枚はキャプションが『No. 212. Nagasaki, Bund.』、もう1枚は『BUND, NAGASAKI.』。『BUND, NAGASAKI.』の方は、マウントもされていないし彩色もされていない。果たしてこの2枚の関係やいかに?
20160822123007_2016082611062843b.jpg ←クリックで拡大
  左 : 『No. 212. Nagasaki, Bund.』
  右 : 『BUND, NAGASAKI.』

以上が前回までのおさらい。
結論を言うと、この2枚の関係は現時点で不明です。しかしながら、若干の考察というか推測を試みてみましょう。

まず、予備知識として、
この時代の写真は、キャプションの付け方で、その写真を販売した写真師もしくはスタジオがある程度特定できます。しかし、あくまでも「ある程度」で、完全ではありません。この時代の写真の撮影者(撮影スタジオ)を特定するための研究は、まだまだ途上なのです。

この手のお勉強をするのに、先ず読まなくてはいけないのが、以下の2冊です。
 Terry Bennett (2006) 『Old Japanese Photographs: Collectors' Data Guide』、Bernard Quaritch Ltd
 Terry Bennett (2006) 『Photography in Japan 1853-1912』、Tuttle Publishing
日本の写真のお勉強をするのに、先ずは洋書を読まなければならないというのが、日本の古写真研究の現状を語っていますね。

それから、ちょっと古いですが、もう1冊挙げておきたいのが、これです。
 横浜開港資料館(2003)『増補 彩色アルバム 明治の日本―「横浜写真」の世界』、有隣堂
巻末の「解説」と「資料」が参考になります。

新しい物では、
 森望(2015)『明治の長崎 撮影紀行』、長崎文献社
が、正に長崎の写真を取り上げており、ありがたいのですが、誤りも多いので、要注意です (例を挙げるなら、“ファルサリのタイトルは基本的に「すべて大文字記載である。末尾にアルファベットBと番号をつける場合が多いが、”と書かれており、そのような例として8枚の写真を挙げている(10ページ)のですが、これらの写真を長崎大学古写真データベースで確認すると、いずれもBと番号は、末尾ではなく頭についているのです。どうも間違った前提で推論を進めているようで、安心して読めません。また、雲仙温泉の写真はいずれも撮影場所の比定を誤っています)。

一般的に入手可能な文献で、キャプションによって撮影した写真師もしくはスタジオの特定を試みているはこの程度ではないでしょうか(もし、他にもあったら教えてください)。

その他、
 高橋信一 『フェイスブック版 古写真研究こぼれ話―真実を求めて』(全3巻)、渡辺出版
は、古写真研究の一般論として、大変面白いです。

これらを読んで分かるのは、
 ・キャプションから、撮影した写真師もしくはスタジオが特定できる物もある
 ・しかし、特定できない物もある
 ・著者によって、特定結果が異なっている写真もある
よって、結論は、「キャプションから、その写真を販売した写真師もしくはスタジオが“ある程度”特定可能」です。

さて、では、上にあげた2枚の大浦バンドの写真は、誰の撮影か?特定できるでしょうか?
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